演奏について(気になった箇所)
冒頭(序奏)のファンファーレ
2群の掛け合いのファンファーレなのですが、先発のグループの編成がサックス群とホルンと言うのが気になります。これら中音楽器の周りではTUTTIで主和音が強奏されているのですからほっとけば埋没してしまい、ファンファーレ本来(しかも曲の開始部)の華々しさを損ないかねません。吹き方の明瞭さや他とのバランス等に苦労しそうです。
(A)に入る直前のスネアドラムはテンポを聴衆に確認させる意味でも重要です。
第1マーチ (A)
跳躍というのは間が離れていればいるほど慌てがちでスムーズにいきかねます。この旋律の出だしは難しい形です。金管群は主に伴奏型ですがコード担当でもあるので和声感を徹底的に感じてもらう必要があります。
アナリーゼの所で触れた”倚音”は再度言うと、その箇所の和声音に解決する前に置かれる非和声音です。
故に倚音は強い表情を持つべき音ですからそれなりの意識された吹き方をして表現する必要があります。
右記は第1マーチの旋律の最後の部分です。2小節目の頭の4分音符が倚音です。(この小節の和声はF-A-Cのヘ長調ですので1拍目のH音が非和声音であることが解るでしょう?)
基本的には赤字で書き加えた様な吹き方をする必要があります。
この曲では、倚音がフレーズの結尾に頻繁に出てくるので、この曲の演奏上最も注意すべき点と言えます。
第2マーチ (B)
単純かつ難儀なユニゾンの主題をなんとか合わせないといけません。音の処理(アクセントやフレーズ頂点)をちゃんと合わせ統一させると人数分以上の響きがするものです。また、他のパートは和声の感覚と、コーダでの音型の複線となっているので重要です。符点4分音符の後の出のタイミングは完璧に合わす必要ありです。
(C)前の後半の木管の箇所も、休符を挟んだ部分の吹き方をどう揃えるか考えどころです。繋がるようにいくか、きちんと間を置いてより軽さを出すか・・・振り手の思案どころでしょう。
(C)直前のテューバと弦バスの8分音符は次の変ホ長調への以降の上で重要ですのでおろそかに出来ません。
中間部 (D)〜
(D)4小節後の中間部の旋律はそのリズム的面から少々難儀しそうですが、ちょっと練習方法を考えてみます。いろいろと考えられるとは思うのですが・・・

上記練習方法のポイントはビートの頭を意識するということです。シンコペーションと言うのはビートの頭をくってしまう事でつんのめるようなリズムになるのですが、その為には何よりもビートの頭が意識されていないとどうしようもありません。どんな複雑なシンコペーションでもビートの頭をきちんと意識しきれてさえいれば恐れることはありません。
また、この旋律のウラでは4分音符のレガート音型があるので、これに惑わされて流されないよう要注意です。
135小節目からの4小節間はリズム体のパートがいなくなります。テンポキープに注意を要します。
(F)では各パートに見られる休符が気になります。こういう場合は同じフォルテでも、「大きく、でかく」ではなく、「明るく、軽く」と解釈したいもの。音量とパートの多い主旋律のバランスに注意したいものです。
(G)になると中間部当初よりさらに楽器を絞りサックスのみで旋律が奏されます。サックスにどの様な色合いを欲するか考えたいと思います。また、タンバリンのバランス次第で軽さor可愛らしさの表情が分かれてくると思います。
後半部 (I)〜 
音量の指示であるmp,f,ff 等々を単なる強弱の指示としかとらなかったら嘆かわしい結果となります。時としてフォルテよりも小さなフォルティシモだってあるからです。どれくらいの音量であるかは曲の全体像、その箇所の前後関係等々から判断すべきです。また、そこでどんな表情が求められているかと言う点から考えることも重要です。強弱記号は時には表情記号でもあるのです。
第1マーチが回帰する(I)は、曲の最初と異なり力強いファンファーレ的動機の対旋律を伴って登場します。和声もオープンに鳴らされています。ここでは明るく開放的な音量(=それこそがここでのフォルティシモ)を考えたいと思います。特にトランペットのバランスには注意を要するかも知れません。
終結部 (K)〜
(K)では全体にマルカートの指示を与えないとなにやらサウンドが混乱しそうです。ここで大切なのはビート感であるので、拍の頭が明瞭に感じられるようにしたいものです。
(L)からはTrb→Tpへのファンファーレ的音型を少々全面にでる響きのバランスにするとすっきりするのが経験上思うことです。
曲の終わりでは、裏拍に打楽器の一撃がありますが、その直前の拍頭のTUTTIが短く終わり響きがかぶらないよう連取する必要がありそうです。
概観
当然過ぎる事柄ですが、同じパターン同志のパートをまず合わせる必要があります。吹き方、リズム、音程・・・
それからリズムセクションを加えたバランスです。
それと調性感を大切に書かれているので、各々の調性で書かれた部分にどんなイメージ付けをするか、僕としてもこれから膨らませていきたいと思います。
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